『舞妓さんちのまかないさん』
定期的に京都に行きたくなります。
東北住みで滅多に行けないというか、修学旅行で1回しか行ったことがないんですが。
でもやっぱり趣きのある古い町並みや、歴史のある寺社仏閣には心惹かれるので、ガイド本や京都が舞台の小説やマンガを読んで行きたい欲を満たしています。
そんな訳で、私の本棚には京都本がたくさんあるのですが、最近は『舞妓さんちのまかないさん』がお気に入りです。
このマンガの主人公、キヨは舞妓さんたちが共同生活する「屋形」でまかないさんをしています。
まかないさん、というのは専属の料理人のようなもので、キヨは16歳ながら屋形という大所帯の食事の一切を切り盛りしています。
料理人といっても、お店で出てくるような特別な料理は作りません。キヨが作るのは一般的な家庭料理や、キヨが生まれ育った青森の郷土料理ばかりです。
しかしキヨは毎日、どんな時も舞妓さんたちのために手を抜かず、きちんとした料理を作ります。普通のことのように思えますが、それをずっと続けるというのは、意外と難しいものです。
そんなキヨの料理に、舞妓さんたちを始め屋形の関係者たちも癒されたり励まされたりして、読んでいるこっちまでなんだか元気づけられます。何より料理がほんとうに美味しそう。
ずっとほっこりした気持ちで読める『舞妓さんちのまかないさん』ですが、私はあることを恐れてずっと読めずにいました……。そう、それは女だけの共同生活ものにありがちな、ドロドロ展開! 嫉妬で足を引っ張ったり、ひとりを仲間外れにしたり、女の怖い部分が出てくるようなマンガだったらどうしよう、と手を出せずにいました。読んでみたら全くそんなことはなかったのですが。
そもそも主人公のキヨからして、一緒に青森から舞妓さんになるために出てきた幼なじみが舞妓さんデビューする時、自分は舞妓さんに向かなくてなることが出来なかったにも関わらず、やっかむこともなく心から幼なじみにおめでとうと言える心根の持ち主です。
他の人たちも、プリンの取り合いでケンカしたりすることはありますが、泥沼展開からは程遠い存在です。
そもそも、女だけでいると陰湿なイジメが発生する、という話は結構ありますが、かなり偏見が入っているような気がします。私は女子大出身ですが、全くそんな事態に遭遇することなく4年間を過ごしましたし、共学だった高校・中学時代の方がよっぽど女の陰惨な面を見聞きしました。
とりあえず、『舞妓さんちのまかないさん』はそんなことはなかったので、そういうのが苦手な人でも安心して読めます。