薄荷脳の夢

1日1冊読みたい、とある勤め人の読書記録と日々のよしなしごと。ミステリとホラー多めだけどかなり雑食。

ビワとイチジクは庭に植えてはいけない!?『怪談狩り あの子はだあれ?』

 先日、仙台の長命ケ丘に新しく出来たブランチ仙台に行ってきました。待ち合わせまでの時間潰しのつもりだったですが、WEST棟1Fにあるヤマト屋書店が楽しすぎて危うく約束の時間に遅れるところでした。

 背の高い書架がずらりと並び、専門書が充実しているのも素晴らしかったですが、文房具コーナーがもっと素晴らしかった!

 だって、TWISBIが置いてあるんですよ!? 吸入式なのに値段がお手頃、しかもデザインが可愛い台湾発の万年筆。欲しいけどもう万年筆は4本も持ってるし、どこかで見かけたら買おうかな〜、ま、どうせこんな田舎じゃ売ってるとこないだろうけど! と思ってたらこんな郊外寄りの商業施設の書店で見つけるとは……。

 突然の出会い過ぎて、心の準備(財布の準備ともいう)が出来てなかったので今回は見送りましたけどね……。他にも駅前の大型文具店でも見たことないようなインクが売ってたりと、緩みそうになる財布の紐をギュっと締めて目的の本だけ買って帰りました。

 その本が中山市郎の『怪談狩り あの子はだあれ?』です。怪談狩りシリーズは何冊か出ていますが、今回は土地と家にまつわる怪談ということで、幽霊というよりは狐狸のしわざや神様・神社についての話が76話収められています。

 中でも怖かったのは神社や神様にまつわる話で、不敬をはたらいたり、元神社の土地に住んだばかりに酷い目に遭う話が何話かありました。

 幽霊や妖怪も怖いですけど、神様はもっと情け容赦がなくて、いっそ機械的に思えるほどスピーディに処罰を下していきます。この言い訳すら赦さない感じが、より恐ろしさを増しているような気がします。

 でも、個人的にそれより怖かった話が「ビワとイチジク」という話です。

 E子さんが子供の頃、よく遊びに行った親戚のおじさんの家で、ある日ビワの木を植えていました。

 それを見たE子さんのおじいさんが、イチジクの木が既にあるのにビワを植えるとは何事か、この2つを同じ庭に植えるとその家の当主にロクなことが起こらないんだ、と叱ります。

 何故、そう言われているか分かりませんが、E子さんの住む地域には確かにそうした言い伝えがありました。しかし、おじさんは「迷信だ」と気にせず、ビワの木を植えてしまいました。

 数年後、おじさんは脳梗塞で亡くなり、跡を継いだ息子も精神病院へ通うようなってしまったそうです。

 と、大体このような話なのですが、読んでいるうちにあれ? と思いました。

 そういえば、我が家にはどっちも植えてある……。

 気付いたときには血の気が引きましたが、でも別に家族みんな健康で暮らしてるし、この話だけ特別だったんだよ、と思い込もうとしましたが、やっぱり気になるのが人情というもの。とりあえずネットで本当にそうした言い伝えがあるのかどうか調べて見ました。

 その結果、やはり昔からビワとイチジクは同じ敷地内に植えてはいけないとされているようでした。理由については、ビワもイチジクも葉や枝が多い樹木で、家の日当たりが悪くなって住人が病気になるとか、実のなる木を敷地内に植えると運気が吸い取られるとか諸説あるみたいです。

 そんなことを言ったら、果物農家さんは運気吸い取られまくりな気がするのですが、どうなのでしょう。

 葉や枝に関しては、確かに鬱蒼と言っていいレベルで生い茂ります。でも大して背が高くなるわけでもないですし、窓のすぐ側に植えれば日当たりが悪くなりそうですけど、ふつう樹木ってそんなに家ギリギリのところに植えないですよね。実際、家から2、3メートル離れたところに植えてある我が家では、しっかり日光が確保できています。

 うん、なんだか調べている内に、だんだん気にならなくなってきました。ビワとイチジクの木を植えたのは10数年前ですが、今も何事もなく暮らしていますし。

 しかし、今も残る言い伝えや伝承には理由があって残っているのでしょうし、うちは大丈夫でも他所ではどうか分からないので、くれぐれも皆さま庭に木を植える際はお気をつけて……。